陽子線治療センター

センター概要Outline

ごあいさつ

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 前任の榮武二先生から陽子線医学利用研究センター長の任を引き継ぎました。

 当センターは、まず高エネルギー加速器研究機構(KEK)の陽子線加速器を使い、1983年から2001年までの18年間、世界に先駆けて陽子線によるがん放射線治療の研究を実施しました。この第1期終了後、現在の治療専用装置・施設が筑波大学附属病院に併設されて整備され、第2期として当該装置を用いて治療と研究開発活動が行われています。

 2001年から始まった現治療装置による陽子線治療は、執筆時点で23年以上経過していますが、現在も多くの患者さんに陽子線治療を提供しています。この長期間に亘って同一の装置で治療を行えている施設、並びに、運用体制は世界でも稀です。40年以上にわたる治療と研究開発活動の結果、肝臓や肺など呼吸で動く臓器への照射技術・手法を確立し、多くのがん種に対する治療実績を積み上げてきました。特に肝臓がんに対する陽子線治療の実績は世界一位です。また、小児がんに対する治療でも、日本有数の実績を持っています。

 当センターでの陽子線治療は、他の施設で行い難いがんや治療法が確立していないがんに対してより積極的に実施してこれらの癌に対する治療法を確立してきました。医師、医学物理士、研究者が協力し、正確かつ迅速にがんに照準を定める技術を開発しました。この技術は国内外で広く普及しており陽子線治療分野のスタンダードとなっています。さらに現在もAI技術との組み合わせでさらに正確な照射技術を開発中です。当センターの強みは、チーム連携、多職種連携、患者さんとのコミュニケーション、そして治療現場のスタッフの動きです。第2期の治療装置は老朽化が進んでおり、現在、第3世代の新しい陽子線治療装置・設備を整備しています。この新しい装置を用いた治療が2025年秋から開始される予定です。

 当センターのもう一つの柱は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の研究開発です。この新しいがん治療法は、難治性がんや再発がんに対する治療法として期待されています。当センターでは大強度の中性子を発生できる加速器ベースの治療装置を開発し、現在、この装置を用いて初発悪性脳腫瘍に対する治験を実施しています。

 陽子線治療とBNCTの両治療施設を有し、さらに、これらの装置を有機的に活用して機器、ソフトウェア開発、薬剤研究、そして、これらの放射線を活用した新たな治療法の研究を行える治療研究機関は世界で当センターだけです。今後もこの独自の環境を活かし、先進的な放射線治療の研究開発・臨床研究活動を続けていきます。皆様のご協力に感謝し、今後ともよろしくお願いいたします。


筑波大学
陽子線医学利用研究センター長
熊田 博明

組織図

スタッフ

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研究体制

筑波大学 陽子線医学利用研究センターでは、熊田博明センター長を中心に、より効率的で安全性の高い陽子線治療法の確立を目指し、さまざまな基礎研究を重ねています。
また、診療部門である陽子線治療センターのスタッフと連携し、より精度の高い治療法の確立を目指した臨床研究も進めています。

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