陽子線治療の流れ

病巣に正確に陽子線を照射するためには、治療計画を立て、体を固定する器具を作成するなど、 患者さん一人ひとりに合わせた準備が欠かせません。治療を開始するまでの流れをご説明します。
治療の流れ
01 初診診察
紹介状やこれまでの検査結果などをふまえ、専門医が診察を行います。病巣や体の状態を把握し、陽子線治療の適応を判断。必要に応じて検査を行い、現在の症状や治療法をわかりやすく説明します。

02 治療の準備 7〜10日間
陽子線治療を受けることが決まったら、治療開始のための準備にとりかかります。準備期間中、2回程度通院していただき、準備にご協力いただきます。
固定具の作成
陽子線照射中に照射位置がずれないようにするため、体型に合わせて専用の固定具を作ります。頭、体、骨盤など部位に応じて固定の仕方が異なります。 1回あたりの治療時間は15〜30分。この間、体を動かさずに静止できるように固定具を調整します。安心して治療を受けていただくため、患者さんの意見を伺いながら作成します。

陽子線治療計画用CTの撮影
固定具を装着した状態で、専用のCTによる撮影を行います。治療方針を検討するため、さまざまな撮影を行うことがあります。
治療計画作成
病状に合わせて陽子線を照射する角度、深さ、量、回数などを計算し、具体的かつ綿密な照射計画を立てます。その後、担当医をはじめ、他の医師、医学物理士、診療放射線技師、看護師など、治療に関わるスタッフ全員で計画内容を確認・共有。チーム全体で話し合い、最適な治療が提供できるよう準備を進めます。

陽子線の確認作業
使用予定の照射装置で陽子線を実際に照射・測定し、計算結果との一致を確認します。治療計画との相違がないかを、医師と医学物理士がしっかりとチェックします。
03 陽子線治療 2〜7週間
いよいよ陽子線治療開始です。照射回数は、病気の種類や治療部位で異なり、10~56回までさまざまです。照射は“毎日”行う必要があるため、平日は連日の通院が必要です。なお、1回あたりの治療時間は15~30分です(メンテナンス日や祝日を除く)。
治療開始日のオリエンテーション
治療日程を説明し、外来通院の予約日時を決定します。このほか、治療についての条件や注意事項なども丁寧にお伝えします。

照射位置の照合
陽子線を正確に照射するため、X線画像とロボットカウチ(6方向に動く高精度の診療台)を使い、体の位置を細かく調整。治療計画に基づいて、2方向からのX線撮影や、カウチ上での簡易CT(CBCT)撮影を行い、取得した画像から位置を照合します。
高精度なスポットスキャニング照射
位置合わせ後に実際の照射に移ります。照射中は治療部位を動かさないようご協力をお願いします。
1回の照射時間は、腫瘍の大きさによって異なります。これは、当院で採用しているスポットスキャニング照射法が、腫瘍の形に合わせて正確に照射を行うためであり、必要な時間がそれぞれ異なるからです。

正確・安全性を高める呼吸同期システム
呼吸で動く臓器(肺・肝臓・膵臓など)への照射は、呼吸を計測する非接触のレーザーセンサーを装着して行います。この同期システムで呼吸の動きによるズレの影響を最小限に抑えることができるようになり、現在は筑波大学から全国に広まっています。

治療中も安心の診察体制
治療期間は週1回以上の診察を行い、治療経過の説明や質問への対応を行っています。不安な点があれば遠慮なくご相談ください。必要に応じて、採血、レントゲン、CT撮影などの検査を行うことがあります。


04 治療後のフォローアップ 治療後〜5年間
陽子線治療を終えた後も、当センターでは紹介元の主治医と連携しながら、継続的なフォローアップを行います。外来への通院は3カ月に1度の目安で、主治医のもとでの治療経過や検査結果について診察します。病気の内容や経過によって異なりますが、5年間は当センターの専門医も経過観察を行い、必要なアドバイスをします。不安な点や質問があれば、いつでもご相談ください。

