よくあるご質問

放射線治療に関するご質問について解説します。

「放射線」と聞くと何やら怖いものと想像する人も多いようです。近年、放射線治療は治療機器の性能向上により、より人にやさしい治療へと変化しています。 ここでは安心して治療に臨めるよう、患者さんからよく耳にする放射線治療の質問について解説していきます。

放射線治療は根治目的ではなく、終末期の症状緩和に使われるのがメインなのでは?

いいえ。近年放射線治療は進歩しており、手術と同等の治療成績が報告される疾患があるほどです。
欧米ではがん患者のおよそ60%で治療に放射線が使用されているのに対して、日本では25%とまだまだ認知が進んでおらず、放射線治療の適応となる潜在的患者数は多いといわれています。日本では手術が標準的な治療となる胃がんの罹患率が高かったことや世界で唯一の被爆国という歴史的背景により、放射線治療が欧米に比べて普及しにくかったと考えられています。現在日本のがん疾患構造は、生活習慣の欧米化に伴い、放射線治療が適している前立腺がんや乳がんなどの欧米型へと変化しています。放射線治療は現代のがん治療において完治を目指す上で欠かせない治療法と考えられています。

一度放射線治療を受けると同じ部位には再度放射線治療を受けられないというのは本当?

多くの場合、一度目の治療ですでに正常組織が許容できる限度いっぱいの放射線をあてて治療されることがほとんどです。そのため、同じ部位に再発した場合には二度目の放射線治療を行うと正常な組織に「あたりすぎ」になってしまうため、再治療は行えないケースがほとんどです。ただし、放射線を当てた部位や方向によっては、再度照射が可能な場合もありますので、主治医や放射線治療の専門家に相談することをお勧めします。

放射線治療は脱毛や嘔吐(吐き気)などの副作用が強いのでは?

副作用は、放射線を当てた部分にだけ発生するというのが原則です。頭部に照射をしていなければ髪の毛が抜ける心配はありません。多くの放射線治療は外から照射する場合が多いため、照射した部分には日焼けのような皮膚炎が出現することがありますが、一般的には一時的な症状であり、1ヵ月程度で収まることがほとんどです。また、咽頭や食道に放射線を当てた場合には、治療後2週間後くらいから粘膜炎が発生することがありますが多くの場合、皮膚炎同様に一時的なものとされています。食事がとれないほどにひどい影響が出た場合には病院で液状の栄養剤や点滴で栄養を補ったり、痛みがひどい場合には鎮痛剤などで対応します。
上記は代表的な例ですが、放射線治療による副作用は照射部位や照射線量によって異なりますので、筑波大学では治療前に主治医から十分な有害事象に関する説明を行っています。
(化学療法を併用する放射線治療の場合には抗がん剤により発生する副作用もあります)

高性能の機械を使うので放射線治療は高いのでは?

大部分の放射線治療は保険が適用されます。(エックス線治療、定位放射線治療、IMRT、小線源治療など)治療回数や方法、医療機関の医療体制によって医療費が異なるので、費用に不安がある場合には、治療に臨む前に主治医に相談してください。高額医療費制度も使えることがありますので、ご希望であれば、当院の相談窓口等をご紹介します。また、保険のきかない粒子線治療(陽子線治療、炭素線治療等)でも、民間の医療保険の特約等で医療費の補助が出る場合もありますので、患者さんが加入されている保険のご契約内容を確認することをお勧めします。

放射線治療は二次がんや後遺症などの悪影響があるのでは?

放射線治療はコントロールされた放射線を病巣に正確に治療に必要な線量だけ投与するものです。放射線治療を検討する際には、主治医が治療によるメリットとデメリットを十分に検討し、メリットが多い場合にのみ治療を行います。ですので、通常は治療が原因となる二次がんについてそれほど心配する必要はありません。救命を優先させることで、治療後に重大な後遺症が懸念される場合には、治療実施前に主治医から十分な説明がありますので、患者さんが納得した上で治療に臨むことが可能です。

治療は1回で終わるのですか?

放射線治療は1回あたりの線量の違いにより、1回で終わるものから30回以上照射するものまであります。通常は1日1回、週5回(平日のみ)で実施するのが一般的です。例えば25回照射する場合には、5週間かけて治療を行うことになります。治療回数はがんの種類や患者さんの状態、治療の目的、1回あたりの線量などを考慮して決定されます。回数が多いほど病状が重いというわけではありません。

治療はどのように進むのですか?

放射線治療を行うことが決定したら下記のような流れで治療を行います。
患者様に治療効果や有害事象、留意点などの説明を行い、それらの内容を十分に理解したうえで同意書に署名をいただきます。
その後、治療に必要な固定具や治療計画用のCTを撮影します。
撮影したCT画像をもとに照射部位やビームの角度、照射する放射線の量などを検討、患者さんに最適な治療プランを決定します。(数日~1週間程度かかります)
放射線治療をスタートします。初回は30分程度かかりますが、その後の治療に要する時間は1回あたり10分程度です。治療中に問題がないか定期的な診察を行います。

入院は必要ですか?

通常は今まで通りの生活を行いながらの通院で治療が可能です。抗がん剤の併用など、治療のために入院が必要と医師が判断した場合のみ入院していただくことがあります。

通院で治療する場合、日常生活にどんな制限がありますか?

基本的には、患者さんご本人が体力的・精神的に負担にならなければ、いつも通りの生活スタイルでよいと考えられますが、治療内容によっては、飲酒、喫煙、食事、運動などに制限がかかる場合もあります。その内容は患者さんの病気や治療内容により異なりますので、治療をスタートする前に主治医から注意事項に関する説明を受けてください。

  • 筑波大学附属病院
  • 陽子線医学利用研究センター
  • 筑波大学附属病院にて陽子線治療をお考えの方へ